2026年6月、日本銀行は政策金利を0.75%から1.0%へ引き上げた。1%に達するのは1995年9月以来、およそ31年ぶりである。負担が増える人がいることは、はっきりさせておかなければならない。
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2026年6月、日本銀行は政策金利を0.75%から1.0%へ引き上げた。1%に達するのは1995年9月以来、およそ31年ぶりである。
負担が増える人がいることは、はっきりさせておかなければならない。変動金利型の住宅ローンでは、借入3000万円に対して金利が1%上がると返済額は月におよそ1万5000円、35年の総額で600万円ほど増える。借入金で設備を回す中小企業にとっても、利払いの増加は軽くない。
それでも私は、金利が戻ってきたことを歓迎すべき変化だと考える。
金利とは、お金を貸し借りするときの値段である。値段がほぼゼロの世界では、その事業に見合うかどうかを誰も真剣に計算しない。返せる見込みの薄い企業が借り換えだけで生き延び、そこに人と資金が固定されてきた。新しく始めようとする人に回るはずだった資源が、動かないまま30年が過ぎた。低金利は痛みを先送りする道具として使われ、その先送りの総量が今の日本経済の重さになっている。
預ける側が長く割を食ってきたことも見過ごせない。働いて貯めたお金が、置いておくだけでは1円も増えない。それが当たり前になっていた状態のほうが、本来は異常だった。大手銀行の普通預金金利は前回の利上げ局面で0.3%まで上がり、定期預金や国債の利回りも同じ方向に動いている。貯蓄を取り崩して暮らす高齢世帯にとって、これは実際に手取りが増える変化である。
実質賃金がプラスに転じたばかりの局面でブレーキを踏むのは早い、という批判はある。たしかに需要を冷やす面はある。だが今回の物価上昇は国内需要の過熱ではなく、円安を通じた輸入コストの上昇が起点だった。金利差が縮まって円安が止まれば、輸入物価は落ち着く。利上げは景気を冷やす政策であると同時に、生活費の上昇を抑える政策でもある。
ここまで挙げた利点は、返済額が増える人にとって慰めにならないかもしれない。ただ、金利をゼロに戻せばその人たちの暮らしが良くなるわけでもない。低金利の30年で起きたのは、賃金が上がらず、円が安くなり、預金が増えないことだった。値段のない世界に戻ることは、その30年をもう一度なぞることでしかない。
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