主張を伝える 日常生活

住む場所選びで、災害リスクはどこまで優先すべきか?

課題文

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2026年8月、千葉県を中心とした記録的な大雨は、「令和8年8月千葉豪雨」と名付けられた。冠水した道路、水に漬かった車、停電した住宅街。映像を見ながら、多くの人が同じことを考えたはずだ。自分の住んでいる場所は、大丈夫なのか。

私は、住む場所を選ぶとき、災害リスクを予算や利便性より先に確認すべきだと考える。気に入った物件を見つけてからリスクを調べるのではなく、ハザードマップで危険の少ない範囲を先に決め、そのなかで物件を探す。順序を逆にすべきだ、という主張である。

理由は単純で、住まいの条件のなかで、災害リスクだけが後から変えられないからだ。狭さや通勤の遠さは、住み替えや働き方の変化で後から変えられる。だが、土地の低さと水の流れは、住人の努力では動かせない。変えられない条件から先に絞るのは、手順として当然だ。

リスクを知る手段は、すでに用意されている。自治体が公表するハザードマップは、浸水の想定区域と深さを地図で示している。2020年8月からは、不動産の契約前に、業者が水害ハザードマップ上の物件の位置を説明することも義務づけられた。知らずに買う時代は、制度の上では終わっている。

こう言うと、リスクの低い土地は高く、避け続ければ家計が壊れるという反論が返ってくる。だが、浸水想定区域の物件が安いのは、そのリスクの分だけ市場が値引きしているからだ。安さに惹かれて買うことは、その値引きの原資になっている危険を引き受けることを意味する。日本にリスクのない土地はないという声もあるが、ゼロにできないことと、大小を選べることは別の話だ。同じ予算でも、水の危険が大きい便利な場所と、危険の小さいやや不便な場所は選べる。

家は、人生でいちばん高い買い物であると同時に、家族の命を長く預ける器でもある。器の置き場所を、水の通り道の上にしてはならない。災害リスクは、数ある条件のひとつではなく、最初にふるいにかけるべき条件である。

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