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教科書がタブレットの中に入る日が近づいている。
2030年度から、デジタル教科書も正式な教科書になる。
紙だけ、デジタルだけ、両方を組み合わせた形の三つから、教育委員会などが選ぶ仕組みだ。
私は、少なくとも小学校では、紙の教科書を基本に据えるべきだと考える。
第一の理由は、読んで理解する力である。
2018年に発表された分析は、紙と画面で同じような文章を読ませた研究54件、参加者にして約17万人分の結果をまとめ、紙で読んだほうが理解が上回ると結論づけた。
差は大きくないものの、説明的な文章や、読む時間が限られるときほど開きやすかったという。
算数や理科、社会の教科書は説明的な文章でできており、授業には時間の区切りがある。
第二に、紙の本は迷いにくい。
前のページに戻る、二つのページを見比べる、線を引いた箇所を指でたどる。
画面では、いま全体のどこを読んでいるのかがつかみにくい。
読む力を身につける途中の子どもにとって、この差は小さくない。
先にデジタル化を進めた国でも、見直しが始まった。
スウェーデンでは、学校相が2022年に、学校のデジタル化は検証されないまま進んだ実験だったと書いた。
政府は翌年から、学校が教科書を買いそろえるための補助金を出している。
もちろん、デジタルの利点は多い。
重いランドセルから解放され、音声で発音を聞き、動画で実験を見られる。
内容をすぐに新しくでき、文字の拡大や読み上げは、紙では読みにくい子どもを助ける。
ただ、そのどれも、紙を基本にすることと両立する。
音声や動画は、紙の教科書に添える教材として使えばよい。
重さは、教科書を学校に置いて帰れるようにすれば軽くできる。
障害などで紙の教科書が使いにくい子どもは、2019年から、すべての授業でデジタル教科書を使えるようになった。
一人ひとりの事情に合わせた道は、紙を基本にしたままでも残しておける。
読む力は、ほかのすべての教科を学ぶ土台になる。
その力を育てる時期に使う教科書は、紙を基本にすべきである。
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