この文章を読んでから、自分の意見を書きます
選挙の日に投票所へ行くと、市民としての務めを果たしたような気持ちになる。
投票は民主主義の土台であり、その大切さを疑うつもりはない。
しかし、投票しただけで政治に参加したと言い切れるかといえば、私はそうは思わない。
国政選挙は数年に一度しかなく、その間にも法律や制度は次々と決まっていく。
しかも一票で選べるのは候補者か政党であって、一つ一つの政策への賛否までは伝わらない。
スウェーデンの大学を中心とする研究チームが、40か国、27万人あまりの調査データを分析した研究がある。
投票した人の意見が政策に反映される度合いは、投票しなかった人とほとんど変わらなかった。
それに対して、デモや署名、政治家への連絡など、選挙以外の活動を複数している人の意見は、その後の政策に反映されやすかった。
因果関係は示されていないが、投票だけでは声が届きにくいことをうかがわせる結果である。
日本にも、選挙と選挙の間に声を届ける道は用意されている。
国の行政機関が政令や省令を定めるときには、案を公表して広く意見を募るパブリック・コメントが行われる。
国会への請願は憲法で保障された権利で、国籍や年齢の制限もない。
地元の議員に意見を送ることも、誰にでもできる。
もちろん、反論もあるだろう。
投票は誰もが同じ一票を持つ、最も平等な参加の形だ。
仕事や子育てに追われる人に、それ以上を求めるのは酷だとも言われる。
署名やデモを重く見れば、時間と熱意のある人、声の大きい人の意見ばかりが通るという心配もある。
だが、パブリック・コメントは、提出された意見の数ではなく内容を考慮する仕組みになっている。
声の大きさではなく、中身で届く手段もあるのだ。
手間についても、あらゆる案件に関わる必要はない。
自分の暮らしに直結する案件を選び、年に一度、数行の意見を書くだけでも、政治との関わり方は変わる。
声を上げる人が偏るのを心配するなら、なおさら多くの人がこうした手段を使うべきだ。
投票は政治参加の入り口であって、ゴールではない。
選挙と選挙の間にも自分の声を届けてはじめて、政治に参加したと言えるのである。
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