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東京には、国会と中央省庁と最高裁判所が集まり、大企業の本社も数多く置かれている。
国の意思決定と経済の中枢が、ほぼ一つの都市に重なっているということだ。
政府が2025年12月に公表した新しい想定では、都心南部の直下で大きな地震が起きた場合、死者は約1万8000人、経済的な被害は約83兆円に上るとされた。
被害の大きさに加えて見過ごせないのは、その瞬間に国の司令塔も被災者になるという点である。
復旧の指示を出すべき組織が、同じ揺れの中にいる。
2026年に成立した副首都に関する法律は、東京圏の中枢機能が保てなくなったときに、その役割を一定期間肩代わりする地域を定める仕組みを設けた。
災害への備えを法律に書き込んだ意味は大きい。
ただ、非常時にだけ動く代替拠点は、いざというときに役に立ちにくい。
平時から人と業務が置かれていなければ、手順も連絡網も試されないまま古びていく。
分散には反対もある。
庁舎や通信網を二か所に持てば費用がかさむ。
省庁が離れれば、会議や調整のための移動が増えて仕事の効率が落ちる。
実際、中央省庁の多くを新しい都市に移した韓国では、公務員が元の首都ソウルへの出張を重ねていることが問題になった。
これらの指摘はもっともだ。
しかし、二重の費用は保険料として考えるべきものである。
何も起きなければ無駄に見えても、起きたときに失うものに比べれば小さい。
移動の負担も、打ち合わせの多くを画面越しで済ませられる今、軽くする手立てはある。
すべてを移せと言うのではない。
国会や官邸の中枢を残したまま、止まれば国が困る業務から順に外へ置いていけばよい。
一か所に集めることは平時の効率を高めるが、非常時の脆さも同じ場所に集めてしまう。
副首都を名目だけにとどめず、首都の機能の一部を平時から東京の外へ移しておくべきである。
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