お題を考えるための前提情報です
「定年」という区切りを、会社の側が手放し始めています。塩野義製薬は2026年8月、2027年度に定年を60歳から65歳へ延ばしたうえで、65歳以降も正社員のまま毎年更新で働き続けられる制度を導入すると明らかにしました。更新するかどうかは成果で決め、年齢の上限は設けません。日本経済新聞はこれを「定年の実質廃止」と伝えています。先例はYKKグループです。国内の事業会社は2021年4月に65歳定年をやめ、役割を果たせる限り年齢に関係なく働ける仕組みに変えました。
もっとも、定年をなくした会社はまだ少数です。厚生労働省が従業員21人以上の企業およそ23万8千社から集めた2025年の報告では、定年制を廃止した企業は3.9%にとどまり、6割強はいまも60歳定年でした。法律は65歳までの雇用確保を義務、70歳までの就業確保を努力義務としており、多くの会社は定年後の再雇用でこの義務を満たしています。
定年をなくせば、働きたい人が年齢だけで切られずに済み、人手不足の穴も埋まります。半面、上の世代が居続ければ若手のポストは空きにくく、「成果次第で毎年更新」は、定年まで守られてきた雇用を年ごとの査定にさらすことでもあります。年齢で一律に区切る不公平と、区切りがあるからこそ保たれてきた安心。どちらを手放すかを選ぶ話でもあります。
定年制は、なくすべきでしょうか。なくすとしたら、定年が担ってきた「区切り」の役目は、何が引き受けるのでしょうか。
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