この文章を読んでから、自分の意見を書きます
営業成績の順位を社内に貼り出したり、全員に配信したりする会社は少なくない。
順位が見えれば、誰もが負けまいとして力を出すという考えからだ。
だが、社員を順位で並べて見せても、職場が強くなるとは思えない。
伸びるのは個人の数字で、職場を支える協力はかえって細っていくからである。
手がかりになる研究がある。
米テキサス工科大学のカーデラ准教授らは、大学生194人に、本の題名に合う書籍番号を5分間でできるだけ多く入力させた。
ある群では成績の下位半分を次の段階に進ませず、別の群では全員を進ませた。
下位が脱落する群では、入力した数が平均で約21.5%多かった。
ところが、そのあとにお金を分け合うゲームをさせると、生き残った人は、全員が進んだ群の上位半分と比べて相手への配分を減らし、相手からより多く奪った。
くじで半分を脱落させた群は、その中間だった。
働く大人564人に、成績下位の社員を解雇する会社の場面を読ませた調査では、回答者は残った同僚を、協力的でなく信用しにくい相手とみなした。
解雇するのが下位5割でも2割でも、結果はほぼ変わらなかった。
人を順位で分けること自体が、互いを見る目を変えるのだと研究者らは考えている。
順位を公表するだけなら、誰かが職場を去るわけではない。
それでも、その順位が評価や賞与に結びついていれば、隣の同僚は自分の席を脅かす相手になる。
順位を示すのは公平だ、という反論もあるだろう。
何が評価されるのかがはっきりし、上位の人のやり方から学ぶこともできる。
実験でも、成果は確かに上がっていた。
とはいえ、その成果は5分間の一人作業で測ったものにすぎない。
実際の仕事の多くは、後輩に教える、忙しい人の作業を引き受ける、といった数字に表れにくい協力で回っている。
順位を上げたいなら、その手間を惜しむのがいちばん早い。
研究者らも、個人で完結する仕事には合うかもしれないが、チームで進める仕事には害になりうるとしている。
職場を強くするのは、個人の順位を並べることではない。
チームとしての成果を共有し、一人ひとりには前の自分と比べて何が伸びたかを伝えるほうが、人は安心して互いに力を貸せる。
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