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SNSを開けば、だれかが旅をしている。海外の街角、話題のカフェ、美しい景色。それをながめているうちに、ふと「自分はこのままでいいのだろうか」と不安になる。そんな経験はないだろうか。
アメリカの調査では、成人の約7割が「他人と比べて、自分は十分に世界を見ていない」と感じているという。若い世代の半数近くが、SNSの投稿に劣等感を抱いたことがあるとも報告されている。行った場所の数、体験したことの数が、まるで人生の点数であるかのように感じられてしまうのだ。
だが、立ち止まって考えたい。経験の「量」は、本当に人生の充実を測る物差しなのだろうか。十の国を駆け足でめぐった人と、一つの街を何年もかけて深く知った人の、どちらが豊かとは、簡単には言えないはずだ。旅の回数と幸福感の関係を調べた研究では、旅が頻繁になりすぎると一回ごとの新鮮さが薄れ、満足感はかえって伸びなやむという結果も出ている。
SNSが見せるのは、他人の人生の選び抜かれた一場面にすぎない。その断片を集めた「量」と自分の日常を比べることに、意味はあるのだろうか。充実とは、外から数えられるものではなく、本人の内側でしか測れないものではないだろうか。
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